前回の「骨盤矯正って何 ?」で私なりの骨盤矯正の解釈を述べました。
『骨盤を構成する骨の位置関係が何らかの要因で正常から逸脱し、形がいびつになった状態を徒手にて元に戻すこと』
この解釈を元に、今回は
『骨盤矯正って できるの?』
ということについて考えてみたいと思います。
骨と骨との間にあるものは?
多くの骨と骨の間は下図のような構造をしており、この部位を「関節(joint)」と言います。
日本の解剖学書における「関節」の定義は、
「骨と骨とを可動的に結合させる部分。両骨の相対する面には軟骨の薄層があり、関節の周囲は骨膜の延長である結合組織性の丈夫な膜で包まれ、内部は滑液で満たされている」(SJF関節ファシリテーション第2版より引用)
となっています。
つまり、骨と骨の間が動くものを関節と定義しています。
ちなみに、英語のjointsの定義は日本のものとは違っています。
この話はまた別の機会にしますね。
とりあえず、骨と骨との間には、関節という動く器官があるということになります。
言い換えると、日本の定義に従えば、骨と骨との間でも動かないところは関節とは言わないということになります。
骨盤に関節はあるの?
結論から言うと、
「あります!」
骨盤を構成する骨は、寛骨・仙骨・尾骨です。
寛骨は腸骨・恥骨・坐骨が融合したものになりますが、この腸骨と仙骨の間に「仙腸関節」という関節が存在します。
この部位は強靭な靭帯に覆われているため、長い間動かないと考えられていましたが、今では僅かですが動くと考えられています。
もう一つ、関節と言えるかどうか微妙ですが、仙骨と尾骨の間に「仙尾関節」というものがあります。
この仙尾関節はしばしば骨化して骨結合するため、仙尾連結や仙尾結合と言われたりします。
動くかどうかは人によって違いますし、性差によっても異なってきます。
関節と呼ぶより連結といった方が適切かもしれません。
以上のことから、骨盤に存在する関節は「仙腸関節」のみと考えられます。
先ほど動くところが関節だと述べました。
骨盤に存在する関節は仙腸関節のみということも分かりました。
ということは、正常の位置から逸脱する可能性は仙腸関節のみにあるということになります。
だって、動かないところは骨折でもしない限り動きませんからね!
つまり、矯正できる部位も仙腸関節のみということです。
骨盤矯正=仙腸関節矯正 ですね!
骨盤矯正は可能?
理論的には仙腸関節を動かす方法があれば矯正は可能となります。
しかし、強固な靭帯に覆われ、動いても数ミリと考えられている仙腸関節が、矯正が必要なほどズレることがあるのか?という疑問が残ります。
女性は、出産前後でホルモンの影響から仙腸関節周囲の靭帯が緩み、過剰に動いてしまう時期があります。
この時は仙腸関節にズレが生じる可能性はあるでしょう。
しかし、ほとんどの人が一定期間を過ぎると自然に戻ると言われています。
また、事故など外傷性のストレスが加わった場合も、ズレてしまう可能性はあるでしょう。
しかし、この場合は医学的な処置が必要なケースになると考えられます。
これ以外の日常生活で、仙腸関節がズレるほどのストレスを受けることは考えにくいのではないでしょうか。
以上のことから、
骨盤矯正は仙腸関節を動かす技術があれば可能だが、その必要性には疑問が残る!
というのが私の見解です。
今日のお話はここまでです。
次回は、骨盤矯正(=仙腸関節矯正)の必要性について考えてみたいと思います。
是非、次回のテーマも読んでみてください。
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