ストレッチとは?
「ストレッチは何をすることですか?」
と質問された時、皆さんはどう答えますか?
おそらく、「筋肉を伸ばすこと!」と答えるでしょう。
正解!!
なのですが...
普段なにげなく行っているストレッチには種類があって、効果についての報告も様々あるということを知っていますか?
ストレッチの分類
みなさんが普段行っているストレッチは、イラストのような方法だと思いますが、この中には2種類の方法が描かれています。
足の筋肉を伸ばしている2つは静的ストレッチ、腰をねじっているのはバリスティックストレッチという方法になります。
この静的ストレッチ、バリスティックストレッチの他に、動的ストレッチ、PNFストレッチというものを加えた4種類が一般的な分類です。
では、それぞれどのようなものなのか見てみましょう。
①静的ストレッチ(Static Stretch)
このストレッチは、伸ばしたい筋肉をゆるやかに最大位に伸ばし、その姿勢をしばらく保つという方法です。
みなさんがストレッチと聞いて思い出す方法はこれになります。
②動的ストレッチ(Dynamic Stretch)
このストレッチは、スポーツ領域でもっとも多用されている方法で、体を動かして筋肉に刺激を入れながら生理学的作用を利用して筋肉の柔軟性を高めていく方法になります。
スポーツに興味のある方はご存じかもしれませんが、一般的にはあまり知られていません。
③バリスティックストレッチ(Ballistic Stretch)
このストレッチは、反動をつけて筋肉を伸ばす方法です。
学校の体育やスポーツの現場で昔から行われてきた、“いち”,“にー”,“さん”と掛け声をかけながら行うアキレス腱を伸ばす運動を思い出してもらうと分かり易いと思います。
実はラジオ体操もバリスティックストレッチの仲間になります。
④PNFストレッチ(Proprioceptive Neuromuscular Facilitation Stretch)
PNFストレッチは、PNF(神経生理学的アプローチ)という技術の中の一部(ホールドリラックス、コントラクトリラックス)を使い、筋の柔軟性を高め可動域の拡大を図っていく方法になります。
このストレッチは①~③までと違い、自分一人では出来ませんので、基本パートナーが必要だと思ってください。
この4つの分類は、一般社会だけでなく医療の中でも普通に使用され、その効果についての研究も盛んにおこなわれています。
①や③に関しては、スポーツ分野でのパフォーマンスに対する効果が疑問視されていたり、②はストレッチという言葉が当てはまるかどうか甚だ疑問ですが、スポーツ分野でのウォーミングアップ等での使用効果が高いという研究が多く報告されています。
④もストレッチという言葉が当てはまるかどうか疑問ですが、筋肉の柔軟性を上げ可動域の拡大が見込めると言われています。
この4つの分類は、スポーツ業界を含め一般社会で使用されていますが、医学の中でストレッチはどのように定義されているのか?
そしてその効果は?
ということについて、次の項目で明らかにしていきたいと思います。
医学におけるストレッチの定義
本来、こちらが本流のはずなのですが...
医療者の中でも知らない方が増えているようです...
悲しい現状です...
医学の定義では、
強制他動運動=Foced passive movement
これがストレッチの定義になります。
つまり、「関節の動きが止まったところから、更に強制的に曲げたり・伸ばしたりすること」というのが、医学におけるストレッチの意味になります。
上の4つの分類からすると①の静的ストレッチが近いと言えますが、2つの定義を比べると異なるものだと分かります。
ストレッチ(強制他動運動)の効果
医学の定義に基づいたストレッチ(強制他動運動)を実施した場合、効果はあるのでしょうか?
結論から言うと、
無い!
更に言うと
悪化する可能性が大きい!
ということになります。
元々、筋肉は伸びる許容が大きい組織で、短くなりにくいため「関節の動きが狭い原因は筋肉以外のところにある場合が多い!」と考えられます。
つまり、筋肉を伸ばしても原因が解決するわけではないということになります。
更に言うと、ストレッチ(強制他動運動)をすると筋肉の繊維を傷つけてしまう可能性があります。
損傷を受けると、筋繊維の修復過程で必ず炎症が起こります。
炎症には痛みがともないます。
つまりストレッチをすることは、痛みを引き起こし、痛みは防御性の筋攣縮(医学的には筋スパズムと言います)をまねく可能性があります。
そして、修復された組織は瘢痕化するため、筋繊維の伸展性を失い、拘縮という病的状態を招く可能性すらあります。
同時に、強制的に動かすことによって「関節のくじき(通り道からの脱線や引っ掛かり)」を生じる可能性もあります。
すると、
関節内運動の不具合から生じる痛みの発生
⇩
拮抗筋の防御性攣縮(筋スパズム)
⇩
可動域の低下
へと繋がっていく可能性もあります。
つまり、
ストレッチ(強制他動運動)をしても一つも良いことは無い!!
というのが結論です。
では、どうすれば良いのか?
このことについては、「ストップ! ストレッチ!(その②)」で述べていきたいと思います。
その①はこの辺で終了したいと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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